盗撮事件
コラム・解決事例
COLUMN / CASE
2023.08.01
刑事弁護・少年事件
弁護士のトラブル解決コラム 盗撮事件で不起訴・執行猶予を獲得する方法
スマートフォンや小型カメラが普及したことで、盗撮事件のハードルが低下し、その検挙数は10年で約3倍になりました。ごく普通の会社員だけでなく、教師や警察官といった公務員が逮捕されるケースも少なくありません。
盗撮事件で逮捕されてしまった場合、可能な限り早く弁護士に相談することが重要です。
身に覚えがない場合は断固として戦うべきですし、過ちを犯してしまったのであれば早期に被害者と示談をする必要があります。
このコラムでは、盗撮事件の流れや弁護士に依頼するメリット、示談金の相場等について解説したうえで、不起訴・執行猶予を獲得する方法をご紹介いたします。
1 そもそも盗撮はなんの犯罪?
実は、盗撮罪という盗撮行為のみにフォーカスした法律はありません。
盗撮で処罰される場合、軽犯罪法違反または迷惑防止条例違反のいずれかが処罰の根拠法令となります。
軽犯罪法は公共の場所以外、例えばビル内の更衣室やトイレで行われる盗撮行為を規制しています。その罰則は拘留(1日以上30日未満の刑事施設での身柄拘束)または科料(1000円以上1万円未満の金銭徴収)です。
迷惑防止条例違反の場合より刑罰の程度は軽微ですが、その影響は大きく、拘留となると職を失ってしまうリスクすらあります。
迷惑防止条例は各都道府県ごとに制定されています。
「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」などと呼称されることが多く、大阪府と兵庫県もこのような名称の条例が制定されています。
条例は各都道府県ごとに定められています。地域によって処罰の対象となる盗撮行為も罰則もばらばらとなっているため注意が必要です。
例えば、大阪府と兵庫県の条例では以下のように定められています。
- 大阪府
盗撮行為について、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
常習の場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金
盗撮目的でカメラを差し向けたり設置する行為について、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 - 兵庫県
盗撮行為と盗撮目的でカメラを設置する行為について、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金
常習の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
以上のように、大阪府と兵庫県だけでも対象となる行為や刑罰には微妙な違いがあります。
なお、18歳未満の被害者の裸体を撮影するような盗撮行為の場合、児童ポルノ禁止法に違反することになります。その場合の罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金と非常に重いものになっています。
この他にも、盗撮のため住居や建物に立ち入った場合、その立ち入り自体が建造物侵入罪という犯罪に問われるおそれがあります。建造物侵入罪の罰則は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。
このように「盗撮をしてしまった」といっても科される刑罰はお住まいの地域や盗撮の態様によって様々です。詳しくは専門家である弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
2 盗撮事件の刑罰の相場は?
盗撮事件の場合、初犯であれば公開の法廷での正式な刑事裁判を経ることなく、
裁判官の書面審理のみで手続きが終わる略式裁判とされることが多いです。
その場合、刑罰として懲役刑が科せられることはなく、罰金刑に処せられることになります。
初犯の罰金額は20~30万程度となることがほとんどです。
もっとも、盗撮行為で繰り返し逮捕されていたり、盗撮行為の態様が悪質で児童ポルノ禁止法に抵触したりするケースなどでは懲役刑が言い渡される可能性は十分にあります。また、罰金刑であっても前科がつくことには変わりありません。
他方で、被害者と示談が成立していれば不起訴処分となり、前科がつかずに済むことも珍しくありません。仮に刑事裁判で懲役刑が言い渡されても、示談をしていれば執行猶予となる可能性が高くなります。その意味で、盗撮事件では示談が成立しているか否かが極めて重要になります。
3 盗撮事件で示談をする方法は?
盗撮事件において、加害者は刑事責任を問われる立場にあるだけでなく、被害者から民事上の責任を問われる立場でもあります。
示談とは、この民事責任について当事者間で話し合い、加害者から被害者に被害金や慰謝料等の賠償金を支払う代わりに、被害者からの許しを得ることをいいます。
示談の成立は民事責任について当事者間で解決したに過ぎません。そのため、示談が成立していたとしても起訴されたり、有罪判決を受けたりすることはあります。強盗や強姦といった重大事件ほどその傾向は高くなります。
もっとも、示談が成立していることは刑事処分を決めるうえで重要な考慮要素でもあります。
盗撮事件では、示談が成立していれば不起訴となることも十分にあり得るため、盗撮事件の加害者となってしまった場合、まずは示談の成立を目指すことになります。
盗撮事件の示談金の相場は、悪質性が低く、被害感情も低いケースで10万円から50万円程度です。
もっとも、示談は被害者の納得と許しが前提となります。事件が悪質で、被害者の処罰感情も強いケースでは示談金が100万円を超えることも珍しくありません。
盗撮事件は、
- 軽犯罪法違反
- 迷惑防止条例違反
- 建造物侵入罪
- 児童ポルノ禁止法
と関係法令が多岐にわたります。また、被害者の処罰感情の程度、犯行の悪質性、被害人数など示談金額を増減させる要素も複数存在します。
そのため、当該事案で妥当かつ適切な示談金がいくらかを判断するためには専門的知識が不可欠です。
示談を成功させるためには、まずは専門家である弁護士にご相談いただくことが確実です。
4 示談交渉を弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼することで、被害者との間で早期に適切な内容の示談を成立させることが期待できます。それは以下のようなメリットがあるからです。
- 被害者と連絡を取ることができる
- 被害者との間で冷静な話し合いを行うことが期待できる
- 妥当かつ適切な内容で示談することが期待できる
- 示談したことを刑事手続のなかで効果的に反映できる
まず、そもそも加害者単独では被害者と連絡を取ることができません。被害者の連絡先を知るためには、警察や検察といった捜査機関を通じて被害者に許可を得て教えてもらうことが一般的です。そのため、加害者が連絡先を知ろうとしても、捜査機関から拒否されてしまいます。
また、性犯罪という性質上、加害者自らが被害者と話し合いの場をもとうとしても、冷静な話し合いを行うことはまず期待できません。だからといって強引に示談を進めると脅迫や証拠隠滅と捉えられるリスクもあり、事態の悪化を招きます。
弁護士に依頼することで、被害者の連絡先を捜査機関から入手し、被害者との間で示談に向けた話し合いを行うことができます。示談交渉の際も、専門的な知見に基づき妥当かつ適切な条件を提示することができます。そして、示談が成功した後は、示談の成果を刑事手続に効果的に反映させ、不起訴処分や刑の減軽、執行猶予の獲得のための働きかけを行ってもらうことができます。
5 盗撮事件の弁護士費用
刑事事件を解決するまでには、示談活動・接見・拘留延長阻止・保釈請求といった多岐にわたる活動を要します。
当事務所では、これら活動ごとに追加費用を発生させることはしておりません。
これら活動は刑事弁護士に必要不可欠なものであり、これらを欠いては適切な弁護活動はできないと考えるからです。
そのため、当事務所では刑事弁護フルサポートを標準プランとしています。
初 回 相 談 料 無 料
項目 | 着手金(税込) | 報酬金(税込) |
起訴前刑事弁護 | 33万円 | 33万円 |
起訴後刑事弁護 | 55万円 | 55万円 |
※接見回数は起訴前4回、起訴後4回を基準回数とし、基準回数を超えた場合は1回につき3.3万円(税込)の追加費用が発生いたします。
※共犯事件、被害者が複数いる事件、その他事案が複雑な事件については別途費用が発生する場合があります。
6 盗撮事件解決までのフロー
盗撮事件は上記図のようなフローを辿ります。
逮捕された場合、逮捕から起訴されるまで最長23日間の身体拘束を受けることになります。
多くの事件では起訴後も身体拘束が続き、判決まで数ヵ月にわたり身体拘束を受けることもあります。
これほど長期にわたり身体拘束を受けると、逮捕されたことを職場に秘密にしておくことは難しく、家庭環境にも悪影響が及びかねません。
繰り返しますが、盗撮事件は被害者との示談を成立させることが重要です。被害者と示談して罪を許してもらえれば、不起訴となり早期に日常生活を取り戻すことも可能です。
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